東北大学 サイバーサイエンスセンター

ご紹介

ご挨拶

青木 孝文

本日ここに、東北大学サイバーサイエンスセンターの新スーパーコンピュータシステムの更新にあたり、挨拶を申し上げます。

東北大学は、1907年の建学以来、113年にわたり「研究第一主義」の伝統、「門戸開放」の理念、「実学尊重」の精神のもと、多くの指導的人材を輩出し、さらに世界的に卓越した研究成果によって人類の知の地平を拡大して、未来社会へ向けた改革・イノベーションを先導してきました。また、2017年6月には、世界の有力大学と伍していくことを使命とする「指定国立大学法人」の最初の3校に指定されました。

現在、およそ17,800名の学生と6,300名の教職員を擁し、「杜の都」と呼ばれるこの仙台の地に、四季の気配を色濃く映す四つのキャンパスに10の学部と15の大学院研究科、3つの専門職大学院、6の附置研究所に加え、教育研究に携わる機構・センターと図書館・病院などを有しています。

2020年は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大で幕を開けました。本学は、東日本大震災に対峙したときがそうであったように、知の力によって、コロナ危機に続くニューノーマル時代、その後のポストコロナ時代を通して社会変革を先導する存在でありたいと考えます。感染症の脅威のみならず、気候変動、エネルギー問題、災害の多発、格差の拡大など、世界が多くの課題を抱える今こそ、私たちの多様な知識と人材の力をもって、新たな社会像を提示することが求められています。持続可能な開発目標(SDGs)が問いかける未来の実現に向けて、アカデミアの果たす役割は重大です。本学は、総合研究大学として大学が擁する多様な専門家の知を総合し、今後の社会のあり方を先導し新たな地平をひらいていきます。

本学は、「最先端の創造・大変革への挑戦」をうたい2018年11月に公表した「東北大学ビジョン2030」をこのたびアップデートし、大学の変革を加速することにしました。教育、研究、社会との共創など、本学の諸活動のオンライン化を強力に進めるとともに、サイバー空間とリアル空間の融合的活用を通して、ボーダレスで多様性に富み、真にインクルーシブな大学と社会の未来を創っていきます。これまで以上に全学を挙げて変革に取り組み、本学の活動を飛躍的に発展させ、社会にそして世界に貢献していく所存です。  上述の取り組みの中でサイバーサイエンスセンターに期待するのは、スーパーコンピュータ等の世界最先端の情報基盤の整備・運用とその研究開発であり、次世代の学術基盤の研究開発の拠点としての役割です。

東北大学は、大規模数値計算、および多様なデータ処理を必要とするコンピュータシミュレーション技術にいち早く着目しており、まだ揺籃期にあった計算科学分野の研究を強力に支援し、推進させるために、コンピュータの開発・整備に取り組んで参りました。1958年には、他に先駆けて、電気通信研究所の故 大泉充郎(おおいずみじゅうろう)教授を中心に、パラメトロン式電子計算機SENAC-1(セナック-ワン)を設計・製作し、学内外の研究者の用に供すると共に、我が国の電子計算機産業の育成に多大の貢献をしてまいりました。この実績のもと、1961年には学内センターとして東北大学計算機センターがつくられ、1969年には、サイバーサイエンスセンターの前身になる全国共同利用施設として我が国2番目の大型計算機センターが東北大学に誕生いたしました。 その後も、常に我が国における先導的役割を果たしてまいりましたが、2009年には、「学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点」として文部科学大臣の認定を受け、いわゆるグランドチャレンジ的な問題について学際的な共同利用・共同研究を実施するなど、学術・研究基盤の発展に更なる貢献をしております。また、2012年には、全国のスーパーコンピュータを連携し我が国の計算科学の基盤とする、ハイパフォーマンスコンピューティングインフラの拠点として、世界最高水準の成果創出と成果の社会還元を目指す取組みに協力しています。さらに、それらの活動をより推進するため、スーパーコンピュータに関する産学連携研究部門として「高性能計算技術開発(NEC)共同研究部門」をセンター内に設置したことも記憶に新しいところです。

さて、サイバーサイエンスセンターにおいては、大型計算機センターの時代から「最先端、かつ世界最大級のコンピュータシステムの導入と利用環境の構築」を目的とし、1986年度から継続して、世界最高クラスの性能を有するベクトル型スーパーコンピュータを整備し、先端学術情報基盤として多様な研究分野の多くの研究者にサービスを提供してまいりました。これにより、萌芽研究から応用研究に至るまで我が国の先端学術研究の推進に貢献すると共に、研究第一主義を標榜とする本学の研究を支え、多くの成果を世に送り出すための基盤ともなっております。具体的には、気象予報データと統合して個人ごとの熱中症危険度を簡易診断可能な『熱中症セルフチェック』の開発・公開、また産業利用としては、民間航空機等の開発の支援等が挙げられます。さらに、被災地にある拠点大学として、防災・減災の取り組みにも力を入れており、災害科学国際研究所等と共同し、大規模地震に伴って発生する津波浸水被害をリアルタイムで評価・分析する「リアルタイム津波浸水予測システム」の研究開発にも取り組んでいます。これらの取り組みを通じてセンターが独自に研究・開発してきた利用技術や次世代高性能計算基盤研究、人材育成などの蓄積は、計算科学、および計算機科学分野における貴重な財産でもあります。

この度、本学は、我が国の科学技術の高度化に取り組む学術研究者からのさらなる計算要求に応えるべく、世界でも屈指の性能と使いやすい利用環境を有する最新のスーパーコンピュータ AOBAを導入しました。我が国のスーパーコンピュータインフラとして富岳および他の基盤センターの機能を補完する役割を持ち、最新で世界有数となった東北大学のスーパーコンピュータシステムは、本学のみならず、全国にひろがる利用者の研究推進のために、大いに役立つことが期待され、学術研究の飛躍的な発展、国際競争力の向上に引き続き大きく貢献することを念願いたすものであります。

終わりに、文部科学省をはじめ、学内外関係各位に、これまでのご協力、ご努力に感謝申し上げるとともに、サイバーサイエンスセンターがこれまで以上に研究支援に貢献し、学内外の熱い期待に応える体制を維持されるよう本学としても支援していきたいと思います。

令和2年11月吉日

東北大学 理事・副学長(企画戦略総括)

青木 孝文


菅沼 拓夫

東北大学サイバーサイエンスセンターは、その前身である東北大学大型計算機センターの設立(1969年)から数えて、昨年で50周年を迎えました。設立当時からの本センターの重要な使命は、日本全国の研究者に対して最先端の科学技術計算環境、すなわちスーパーコンピュータの利用環境を提供することです。現在、本センターは、ネットワーク型共同利用・共同研究拠点として文部科学省から認可を受け、センターが提供しているスーパーコンピュータは、最先端科学技術の進展のために日本全国の研究者から利用されております。本スーパーコンピュータへの需要は高く、常に混雑した状態が長く続いており、近年の利用登録者数は1,500名を超えています。この度、より多くの研究者に、さらに高性能で使いやすい計算環境を提供するために、スーパーコンピュータの更新を行いました。

今回の更新では、より親しみやすいスーパーコンピュータを目指し、新しい試みとして愛称を募集し、346件という多数の応募の中から、多数の方に命名いただいたAOBA(あおば)が選定されました。今後はスーパーコンピュータAOBAの愛称およびロゴマークを使用して、研究成果を世界に向けて発信していきます。

令和2年10月より運用を開始したスーパーコンピュータAOBAは、総演算性能は1.8 Pflop/sであり、理論的には1秒間に1800兆回の演算を実行できます。これは、前システムの約2.4倍の性能です。AOBAは、NEC SX-Aurora TSUBASA B401-8を中心とするサブシステムAOBA-Aと、NEC LX 406Rz-2を中心とするサブシステムAOBA-Bから構成されています。AOBA-Aは総演算性能1.48 Pflop/s、総メモリバンド幅895TB/sのベクトルコンピュータで、通常のコンピュータよりも演算性能とメモリ性能のバランスが良いことが特長です。科学技術計算では高いメモリ性能が求められることから、研究者が独自に開発した科学技術計算プログラムを実行することを主に想定しています。また、オペレーティングシステムとしては世界中のスーパーコンピュータで標準的に使われているLinux OSが採用されており、「特色のあるハードウェア」と「標準的な使い勝手」の両立を実現しています。その結果として、近年盛んになっているデータ駆動科学やAI分野などより広い用途での活用も期待されます。一方、AOBA-Bは最新のAMD EPYCプロセッサを採用したx86サーバで、オープンソースソフトウェアや商用アプリケーション等を実行することを想定しています。これらのサブシステム間およびそれぞれのサブシステムの構成要素は、高速ネットワークを介して接続されています。

さらに、M7以上の地震によって津波の発生が予想される場合に津波浸水被害地域の予測を行うシステムも、東北大学サイバーサイエンスセンターのスーパーコンピュータで運用されてきました。予測結果はすぐに内閣府に伝達され、津波発生後の政府等の迅速・的確な意思決定に役立てられます。このように、平時において学術目的に利用されるだけではなく、緊急時には減災のための社会基盤として機能することも東北大学サイバーサイエンスセンターのスーパーコンピュータの重要な役割となっており、顕著な特徴となっています。AOBAはこの役割を継承しており、東北大学サイバーサイエンスセンターでは、さらなる効率化と運用技術の確立を同システムのベンダーである日本電気株式会社との共同研究により進めています。

データ駆動科学・AIが今後の情報化社会でより重要性を増していくと言われている昨今、それらに不可欠なデータを処理するための頭脳として、スーパーコンピュータへの期待は、今後ますます高まっていきます。利用者の皆様には本センターのスーパーコンピュータAOBAが提供する計算能力をフルにご活用いただいて様々な研究に活かしていただければと存じます。また一方、一般社会に対しても、今後はより広い用途で、社会基盤としての要請にも応えていきますので、ぜひご期待いただければと存じます。

東北大学サイバーサイエンスセンター センター長

菅沼 拓夫

祝辞

新スパコンのサービス開始、誠におめでとうございます。

長年のベクトル型スパコンの運用・研究開発を通じて、科学技術の進展への貢献はもとより、防災・減災といった社会基盤としての役割も果たしてきた貴センターに敬意を表します。

今後も、高性能計算に関する共同利用・共同研究拠点、さらに革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)システム構成機関として、これまで以上にご活躍されることを期待しています。

文部科学省研究振興局参事官(情報担当)付

計算科学技術推進室長

宅間 裕子


新野 隆

新スーパーコンピュータAOBAの稼働を心よりお祝い申し上げます。AOBAはNECが長年スーパーコンピュータ開発で培った技術を集結した、第二世代のSX-Aurora TSUBASAを世界で初めてご採用頂きました。NECは今後もAOBAのサポートを通じて、利用者の皆様のより一層の研究開発に貢献してまいります。

日本電気株式会社 代表取締役 執行役員社長 兼 CEO

新野 隆


Resch

As an old friend of the Tohoku University Cyberscience Center, we, HLRS, congratulate the operation start of the new supercomputing system. A new system is always a good opportunity to reach out for new goals and tackle new challenges. We know that the Cyberscience Center will be successful in this. We look forward to continuously working together with the Cyberscience Center, focusing on sustained simulation performance to solve the problems of science and engineering but also to contribute to the well-being of our countries and societies.

Director, The High Performance Computing Center (HLRS) in Stuttgart

Michael M. Resch


Voevodin

We, MSU Research Computing Center, congratulate the Tohoku University Cyberscience Center on starting the operation of Supercomputer AOBA. Having very fruitful collaboration between the Tohoku University Cyberscience Center and MSU Research Computing Center over the last years, I am sure the new AOBA system will bring new top-level projects in various subject areas of science and technology and strengthen scientific contacts between our universities.

Director, Research Computing Center, Lomonosov Moscow State University

Vladimir Voevodin


藤井 孝蔵

新スパコンサービス開始を心よりお祝い申し上げます.世界に誇る日本のHPCIシステムと私たち利用者との架け橋として,東北大サイバーサイエンスセンターの更なる発展を祈念いたします.

東京理科大学工学部情報工学科 教授 (JAXA 名誉教授)

藤井 孝蔵


伊達 進

東北大学サイバーサイエンスセンター様の新スーパーコンピュータ AOBAの運用開始を心からお祝い申し上げます。今日までの東北大学サイバーサイエンス様のスーパーコンピュータ運用と利用者支援に関する豊かなご経験は、必ずやAOBAを学術研究基盤だけでなく、Society 5.0 を支える社会基盤として飛躍させると確信しております。

NUG (NEC User Group) 会長、大阪大学サイバーメディアセンター 准教授

伊達 進